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南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

(7)車内ガイディング


半日ガイド体験記 (2004年6月の記録)

 ∬第7話 車内ガイディング

自宅まで約10分。その間、アンタルヤの住宅価格や一般的住まいについて説明することにした。

トルコの都市部の一般的な住宅はほとんどアパートやマンションで、一軒家というのは少ないこと。
アンタルヤの平均的な住宅の間取りは、サロン兼居間、キッチン、寝室が3室くらい。バルコンが2つか3つ、バスルームの他にトルコ式のトイレがつくこと。サロンと居間が別々にある場合もあること。
広さは150~230平方mくらいなこと。
「それ、広すぎ」
ビルゲさんの突っ込みが後ろから飛んできた。
「アンタルヤはイスタンブールに比べると、広くて安いですから」
そう交わし、説明を続けた。
売り家は安いもので300万円くらいから、海に近い場所や海の見えるマンションだと1,000万、1,500万円くらいになること。

女性の方は大抵、具体的で生活に密着した話を喜んでくれる。何がいくらか、大きさ、広さ、品質はどうか、日本より高いか安いか、使いやすいか暮らしやすいか、そしてそれは「お勧め」かどうか。
男性2名を除き全員が女性というグループなので、なるたけ具体的な数字を挙げて説明した。なによりそんな話は、私にとってもお得意だった。
それに不動産の値段だったら、男性にだって関心がないわけがない。

お客様からの質問も飛んできた。
「日本人として、トルコ人のここが理解できない、というところがありますか?」
難しい質問だった。
しかし私の頭には、日頃から気になっていたあの件が、すぐに浮かんできた。

「トルコ人の身体には遊牧民の血が今でも流れているからなのかどうか、屋外でピクニックをしたり、バーベキューをしたりするのが大好きなんです。
海辺とか、涼しい松林でならいいのですが、空いている場所があれば、どこでもお弁当を広げたりする、それが不思議でしょうがない。
例えば、こんな中央分離帯のグリーンベルトで、車が排気ガスを出しながらブンブン通るすぐ脇でお弁当を広げている家族を何回も見たことがあります。
スーパーマーケットの駐車場で、植え込みの横に座ってものを食べている人も見ました。
なにもこんなところで・・・という場所でものを食べる人がいる、そのことですね」

日本人だったら、雰囲気が合うかどうか、周りの人にどう見られるか、そんな点に敏感なので、お弁当を広げるのにいい場所が見つかるまで我慢することだってあるのではないだろうか。
トルコ人だったら、食べたくなったら、すぐその場に座ってでも食べてしまう、そんな性格があるのだ。

読んだのは昨年夏頃だと思うが、忘れられない新聞記事がある。
トルコ移民の多いドイツはベルリンの大統領官邸前の庭園が、週末ともなるとピクニックに繰り出すトルコ人で一杯になるというのだ。問題はその先で、どの家族も持参したバーベキュー・セットでバーベキューを始めるので、あたり一面もうもうたるケバブの匂いと煙で充満する。さすがにこれに見かねた大統領自身の声が紹介されていた。
「ピクニックは許すとしよう。しかし、バーベキューは困る。」
確か、そんな感じだった。

我が家が近付いてきた。
この辺りは新興住宅地として最近とみに開発が進んでいる地域で、ミグロス・ショッピングセンター、ドルフィンランド、アクアランド、ルナパーク、そして新しく『ミニシティ』というミニュチュア・パークも出来、発展を続けている場所である。
しかし一歩裏手に入れば、牛小屋の臭いがし、放し飼いの鶏がコッコッコ~とそこいらを駆け回っている、そんな田舎が広がっている、新旧の混在した地域である。
そんな説明を加えているうちに、もうマンションの下に到着した。バスはすぐ脇の道で待っているという。

日本人なら5人まで乗れるエレベーターに何回かに分かれて乗り、10階の我が家に到着した。
ベルを鳴らすと、子供たちが飛んでやってきた。
はたして目加田さんは、散らかり放題のキッチンはもちろん、ベッドルームに至るまで、わずかな時間で見苦しくないところまで片付け、私たちの到着を待っていてくれた。

 (つづく)

∬第8話 我が家訪問




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